手湿疹について
家事や職業柄、水仕事が多いと、手荒れや手湿疹の症状でお悩みの方も多いと思います。今回は慢性化するとつらい“手湿疹”についてご説明いたします。
手湿疹の主な原因は水や洗剤等の化学物質による「接触性皮膚炎」ですが、アクセサリーや時計といった金属で起こる場合もあります。手の皮脂が過剰に失われ、患部が乾燥して細胞が傷つきやすい状態になっている為、
・小水疱
・びらん
・カサカサ
・皮膚が硬くなる
・ひびわれ
・皮剥け
・あかぎれ
等の症状が見られます。
治療としては、何より“保湿”が大切です。当院では角質を柔らかくする作用のある尿素が入った軟膏や、ステロイドの外用剤、保湿剤等を症状に合わせて処方し治療していきます。少し手間にはなりますが、
・水仕事の時はなるべくゴム手袋をする
・水仕事や手を洗った後、入浴後には必ずハンドクリームを塗る
といったケアを日常的に取り入れ、手湿疹の予防や悪化の防止に努めることが大切です。また、就寝前にハンドクリーム等をつけた後、お肌に優しい綿素材の手袋を着用すると手指が包み込まれることで保湿効果も高められます。当院では蒸れにくく通気性のある綿手袋(1双100円)をご用意しておりますので、ご希望の方はスタッフまでお声がけください。毎日使う手だからこそ、炎症が起こり始めたら早めに皮膚科を受診しましょう。
2018/05/01赤ちゃんのおむつかぶれ
赤ちゃんが生まれるとすぐ始まる毎日のおむつ替えですが、これからの季節特に心配という声が多いのが“おむつかぶれ”です。
おむつかぶれとは?
おむつが触れる部分の肌が赤く炎症を起こし、ブツブツとした小さな発疹ができている状態です。更にひどくなると患部が真っ赤に腫れてジクジクしたり、痒みを伴う場合もある為、ぐずっている赤ちゃんを見ていると早く何とかしてあげたくなりますよね。
かぶれやすい原因は?
赤ちゃんの肌は薄くデリケートなのでトラブルを起こしやすく、汗や排泄物に含まれる酵素、尿素、おむつの線維による擦れが主な原因となります。その他、細菌やカンジダ菌というカビが原因になることもあり、見分けが難しい上、通常のおむつかぶれ用に処方されたステロイド剤を使用すると症状が悪化してしまう場合もあり注意が必要です。
自宅でできるケアは?
汚れが気になる際は、座浴やシャワーのぬるま湯で患部を洗い流しましょう。お肌が乾燥するとバリア機能も低下してしまいますので、こまめに保湿剤を塗って優しくケアします。
医療機関での治療法は?
症状に合わせてステロイド薬、非ステロイド系抗炎症薬などの外用薬で治してくケースが一般的です。カンジダ菌が原因の場合には、抗真菌薬を使用します。おむつが当たる部分を中心にあせもが出来ていたり、お肌が乾燥していることもありますので、症状を診ながら適切なお薬を組み合わせていきます。日常のケアやお薬の塗り方など、医師や看護師からお伝えできるアドバイスもたくさんありますので、お困りの際はぜひお早めにご相談ください。
2018/04/28タコと魚の目の違い
よく耳にする“魚の目”と“タコ”。どちらも皮膚が硬くなった状態の疾患ですが、症状には少し違いがあります。今回はこの2つについてご説明いたします。
それぞれの特徴
魚の目(鶏眼)
真ん中に芯のようなものがあるのが特徴。皮膚内部に向かってV字形に入り込むため、歩いたりして靴や地面が患部に接触すると強い痛みを伴う場合があります。ウイルス性のイボ(尋常性疣贅)とも見分けがつきにくく、魚の目だと思って放置していたら、どんどん増えてしまったというケースも。
タコ(胼胝)
患部が黄色味を帯びて盛り上がった状態になっており、芯はありません。皮膚表面に丸く突出していて、痛みを感じることも少ないです。
治療法
患部が硬い場合、張り薬のスピール膏や塗り薬のサリチル酸を処方して、角質を柔らかくしてから削ります。これまでは月に1回の処置しか認められていませんでしたが、二年に一度の診療報酬改定で今月から月に2回まで保険適応で処置できるようになりました!1回の来院で完治する事もありますが、大きく深さがある際は何度か繰り返し治療を行う為、2週~4週に一度のペースで通院していただきます。歩き方やサイズの合った靴に変えることで軽快する場合もありますので、まずは患部の状態を確認する為にもお早めにご相談ください。
2018/04/26犬に咬まれたら
犬に咬まれた時、見た目は小さな傷でも鋭い歯によって実は皮膚の深いところまでギザギザに傷付けられていることがあります。今回は犬に咬まれた場合に注意したい疾患や感染症についてご説明いたします。
●狂犬病
犬に咬まれて起こる疾患として有名なのが狂犬病です。狂犬病ウイルスを保有する犬に噛まれた場合、発熱や食欲不振、傷の痛み、知覚の異常などの症状が現われます。病状が進むと水を飲めない恐水症やけいれん発作、高熱、厳格、錯乱、麻痺などが起こり、呼吸困難や血圧低下を起こして死に至る場合もあります。飼い犬の場合は、狂犬病予防法によって飼い予防接種を受けているはずなので、日本国内においてはほぼ心配ないと言われています。
しかし、実情としては予防接種件数は100%ではなく、野犬の場合は受けていない可能性が高いので、犬に咬まれた際にはワクチン接種を行っている病院を受診することをおすすめします。
●破傷風
犬の場合は散歩等で土壌に直接口部分が触れることも多く、口内や唾液に雑菌が含まれやすい状況にあります。破傷風は広く土壌中に分布する破傷風菌が傷口等から感染することにより発症し、最悪の場合死亡する事もある感染症です。症状は脊髄などの中枢神経伝達機能不全がおこり口元の麻痺、筋肉痛などが自覚され症状が進行すると全身麻痺や筋肉弛緩などを発現させて死に至る場合もあります。
日本では破傷風の予防接種が義務付けられているものの、高齢者や免疫力が低い人は発症する可能性があるので要注意です。破傷風はあらかじめ予防接種しておくと感染を防止できます。また症状の軽い初期に適切な治療を行えば命に関わる事はありません。
また、飼い主がいる場合は連絡先を聞いておくことも大切です。それにより、咬んだ犬が狂犬病の予防接種をきちんと受けているか等を確認することができます。いずれにしても、犬に咬まれた場合は傷口をよく洗い清潔なガーゼ等で抑え、なるべく早く病院を受診しましょう。
2018/03/30
耳切れについて
耳たぶの下が切れて痛い…。もしかするとそれは“耳切れ”の可能性があります。大人に限らず、お肌が敏感な赤ちゃんにも多い疾患ですが、正しい治療と予防で改善することが出来ます。
原因と主な症状
主な原因は乾燥・洋服などの刺激、細菌繁殖によるもので、耳たぶの下がひび割れて細い線が入り赤くなります。そして徐々に赤みが増して範囲が広がり線も厚くなっていき、悪化した場合は痒みが発生し、更に掻くことで出血したり化膿した状態になります。
「アトピー」と「耳切れ」の関係は?
どちらも同じような症状なので見分けが難しいですが、耳切れの他に「肘」「膝」の裏側にも同様の皮膚炎が見られた場合はアトピーの可能性があります。アトピーによる耳切れの場合、考えられる要因は「耳の脂漏性湿疹」「よだれ・汗・涙によるかぶれ」「石鹸によるかぶれ」「乾燥」が上げられます。
治療・予防
ステロイド等による外用薬での治療が主ですが、その他以下の予防策を取ることで改善されることもあります。
・赤ちゃんの場合、毎食後汚れをしっかり拭き取る
・保湿を保つ
・清潔を保つ
悪化すると完治まで時間がかかってしまうこともあるので、気になる症状が現れた際には早めにご来院ください。
2018/03/23
脱毛症について
以前こちらのHPでAGA(男性型脱毛症)と円形脱毛症についてご紹介させていただきましたが、脱毛症にはその他にも様々な種類や要因があります。今回はそれらについてまとめてご紹介いたします。
脱毛症の種類
男性型脱毛症(AGA)
一般的に遺伝と男性ホルモンの影響から起こり、男性の10人に1人の割合で発症すると言われています。
・壮年性脱毛症
AGAの一種で、ヘアサイクルの成長が短くなり硬毛が軟毛化する脱毛症です。
日本人よりも欧米人に多く、頭頂部より生え際から徐々に後退しはじめるのが特徴です。
男性型脱毛症も壮年性脱毛症も、当院で自費診療による飲み薬での治療をしております。詳しくはこちら→AGAは皮膚科で治療できます
・円形脱毛症
髪が円形や不整形に抜けてしまう症状です。性別、年齢問わず発症する可能性のある疾患で以前はストレスが原因と言われていましたが、最近では「自己免疫機能」との関係が深いという説が有力になっています。詳しくはこちら→円形脱毛症について
・抜毛症
正常な髪の毛を自分で抜いてしまう症状で、癖やストレスが引き金になることが多いと言われています。
・脂漏性脱毛症
皮脂腺から過剰に皮脂が出ることにより、頭皮の毛穴が塞がり炎症をこしたり、毛穴から細菌が侵入して細胞にダメージを与えることで抜け毛を起こす症状です。
これらの脱毛症は遺伝によるもの、ストレス等による自律神経の乱れ、食事、生活習慣の乱れ、等原因は様々です。症状によっては当院にて保険診療が可能ですので、脱毛症でお悩みの方は一人で抱え込まず、一度ご来院ください。
2018/03/16
面皰圧出治療について
面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)とは、ニキビの中身を押し出す皮膚科で行われる治療です。一般的に「ニキビをつぶしてはいけない」と思われがちですが、自分でニキビをつぶすのと何が違うのかご説明いたします。
◇面皰(めんぽう)とは?
面皰とは、簡単にご説明すると「ニキビ」のことです。
思春期になると男女問わず、男性ホルモンの分泌が活発になり、皮脂の分泌が盛んになります。その結果、毛穴周辺の皮膚が厚くなり、毛穴が狭くなります。それにより、毛穴が詰まってしまい、皮脂が溜まっていきます。これがニキビの原因となり、皮脂が詰まってしまった状態を面皰と言います。
◇面皰圧出とは?
ニキビの中に詰まっている皮脂や膿、古い角質などを押し出す治療法です。皮膚科では、一般的に広く行われています。基本的にはどのようなニキビにも適した治療法ですが、炎症が起こる前に行うと炎症を防ぐことができます。
◇面皰圧出の手順
1、患部の消毒
2、ニキビの先端に小さな穴をあける
3、専用の器具を使用し、中身を押し出す
毛穴の中に詰まった皮脂などを物理的に押し出すことから、治療の効果がすぐに現れ、治癒も早まるとされています。
◇面皰圧出のメリット
・ニキビの治りが早くなる
(圧出により皮脂や汚れを出すことで、炎症が治まり治癒が早くなります)
・ニキビ跡が残りにくい
(皮膚科で面皰圧出法を行う場合は専用の器具を使用し、繊細な穴をニキビの表面にあけ中身を押し出すため、皮膚にダメージを与えにくく、ニキビ跡が残りにくいと言われています)
皮膚科での治療はしっかりと衛生管理されており、面皰圧出法は無理やりニキビをつぶす治療ではありません。一般的に「ニキビをつぶすと跡になる」と言われているのは、素人が自分でニキビをつぶしてしまい、そこへ雑菌が入ったり、必要以上に皮膚を傷つけてしまい悪化させてしまう事があるからです。
「ニキビだけでは皮膚科を受診するほどではない」と思われている方も多いかもしれません。しかし、ニキビは悪化してしまう前に適切な治療を行うことで、跡を残さず治すことができます。面皰圧出は保険が適用できる治療で、当院でも行うことができます。また圧出法だけでなく、それ以外にもニキビの治療法はありますので、悩まれている方がいらっしゃいましたら、一度ご相談ください。
2018/03/09
保湿剤は適切な量を適切な部位に
当院では乳児から大人の方まで、幅広い年代の方が肌の乾燥に悩まれご来院されます。来院までは至らずとも、冬場は特にお肌のカサつきやつっぱりを気にされている方も多いのではないでしょうか。
肌が乾燥しているときはしっかり保湿剤を使用し、健康な状態を取り戻していくことが重要になってきます。
◇冬に肌が乾燥する原因
1 血行の悪化
気温の低下に伴う毛細血管の収縮により、血液の流れが悪くなり、肌の新陳代謝が乱れてしまいます。
2 水分の蒸散と皮脂分泌量の減少
冬は外気が乾燥しているため、肌の水分が蒸散しやすい環境です。
本来であれば皮脂が蒸散を防ぐ役割を担いますが、汗や皮脂の分泌量が減少により、皮脂膜が不足しています。
3 エアコンによる乾燥
エアコン暖房は室内の湿度を奪い、空気を乾燥させるため肌の水分を奪います。
室内温度と外気温の温度差が大きい冬は、肌に負担がかかりやすい時期といえます。
◇保湿剤の使用量の目安
軟膏やクリームは、人差し指の先から第一関節まで伸ばした量、ローションは1円玉大の量(0.5g)でおよそ手の面積2枚分に塗ることができます。
◇基本的な塗り方
保湿剤は皮膚が水分を吸収している入浴後に塗るのが効果的です。出来れば、入浴後5分以内に塗ることを心がけましょう。
◇手順
①手を清潔にして、保湿剤を出します。
②保湿剤を点在させます。
③指先ではなく、手のひらを使って優しく、出来るだけ広い範囲に塗ります。また、例えば肩から指先へ縦方向に塗るのではなく、身体のしわに沿って横の方向に塗ると、広がりやすくなります。
乾燥は肌トラブルの原因となることも多いので、適切な保湿剤の使用が大切です。当院では、症状に合った保湿剤を処方しておりますので、乾燥が気になる方はぜひ一度ご来院ください。
2018/02/23花粉症は早めの対策を
2月も終わりに近づき、日中は日差しが暖かく感じる日も増えてきましたが、それと同時に気になり始めるのが春の花粉症です。今回は春の花粉症についてご紹介いたします。
花粉の飛散はいつから?
春の花粉といえばスギやヒノキです。飛び始める時期は地域によって異なりますが、関東地方では既に始まっており、3月上旬~下旬に向けてピークに達します。個人差はありますが、2月中旬~4月いっぱい頃までは花粉症の症状が続くと考えたほうが良いでしょう。
花粉症と風邪の違い
花粉症の主な症状といえばくしゃみ・鼻水・鼻づまりですが、これらは風邪をひいた時にもよく見られる症状です。花粉症の場合、サラサラとした水っぽい鼻水なのに対し風邪の症状では粘り気のある鼻水のことが多いです。その他に微熱程度の熱が一週間以上続いたり、左右両方の鼻づまりに加えて目の痒みもある等といった症状は花粉症の可能性があります。また、当院では採血による花粉症のアレルギー検査も行っており、採血当日から1週間~2週間程度で結果をお伝えいたします。
花粉症は早めの対策が肝心です
花粉症の症状が出る前からお薬による花粉症の初期療法を始めていると、症状の発症を遅らせ、飛散シーズン中の症状をやわらげることができます。また、初期療法は早期に症状を改善させることもでき、結果として処方される全体のお薬の量を減らすこともできます。以前から花粉のアレルギーをお持ちの方も、花粉症の疑いがある方も早めの対策で辛いこの時期を少しでも和らげましょう。
2018/02/20
爪水虫の治療について
◇どんな病気?
一般的に爪水虫と呼ばれている「爪白癬」は、“白癬菌”という真菌が原因となる感染症です。白癬菌は感染する部位によって病名が変わります。爪白癬は、自覚症状がほとんどありません。手足などに感染した白癬菌が爪まで広がってしまい、症状が進行してから爪水虫であることに気づくケースも少なくありません。
◇爪水虫に感染すると?
痛みやかゆみなどの自覚症状がほとんどないため、見落としがちですが、爪水虫に感染すると以下の症状があてはまります。
・爪が厚く、にごっている
・爪の一部がくさび状に白色・黄色に変色している
・爪の表面が白色に変化し、ざらざらしている
◇爪水虫は治るの?
完治するには爪が生え変わるまでの時間がかかり、年齢や個人差があります。新しい爪が生え変わるまで、根気強く治療を続けることが必要です。
◇どんな薬で治療するの?
爪水虫の治療には白癬菌などの真菌を死滅させる薬である抗真菌薬が使用されます。この薬には、外用薬と内服薬があります。
◇爪水虫になってしまったら?(日常で気をつけること)
・足は指の間まで丁寧に洗い、しっかり乾かす
・靴や靴下は通気性の良いものを選ぶ
・スリッパや使用済みのタオルやバスマットは家族と共用しない
・爪を無理に切ったり、削ったりしない
爪水虫の検査は即日で結果が分かります。
症状にあてはまる方は、一度ご来院されてみてはいかがでしょうか?
2018/02/09