犬に咬まれたら
犬に咬まれた時、見た目は小さな傷でも鋭い歯によって実は皮膚の深いところまでギザギザに傷付けられていることがあります。今回は犬に咬まれた場合に注意したい疾患や感染症についてご説明いたします。
●狂犬病
犬に咬まれて起こる疾患として有名なのが狂犬病です。狂犬病ウイルスを保有する犬に噛まれた場合、発熱や食欲不振、傷の痛み、知覚の異常などの症状が現われます。病状が進むと水を飲めない恐水症やけいれん発作、高熱、厳格、錯乱、麻痺などが起こり、呼吸困難や血圧低下を起こして死に至る場合もあります。飼い犬の場合は、狂犬病予防法によって飼い予防接種を受けているはずなので、日本国内においてはほぼ心配ないと言われています。
しかし、実情としては予防接種件数は100%ではなく、野犬の場合は受けていない可能性が高いので、犬に咬まれた際にはワクチン接種を行っている病院を受診することをおすすめします。
●破傷風
犬の場合は散歩等で土壌に直接口部分が触れることも多く、口内や唾液に雑菌が含まれやすい状況にあります。破傷風は広く土壌中に分布する破傷風菌が傷口等から感染することにより発症し、最悪の場合死亡する事もある感染症です。症状は脊髄などの中枢神経伝達機能不全がおこり口元の麻痺、筋肉痛などが自覚され症状が進行すると全身麻痺や筋肉弛緩などを発現させて死に至る場合もあります。
日本では破傷風の予防接種が義務付けられているものの、高齢者や免疫力が低い人は発症する可能性があるので要注意です。破傷風はあらかじめ予防接種しておくと感染を防止できます。また症状の軽い初期に適切な治療を行えば命に関わる事はありません。
また、飼い主がいる場合は連絡先を聞いておくことも大切です。それにより、咬んだ犬が狂犬病の予防接種をきちんと受けているか等を確認することができます。いずれにしても、犬に咬まれた場合は傷口をよく洗い清潔なガーゼ等で抑え、なるべく早く病院を受診しましょう。
耳切れについて
耳たぶの下が切れて痛い…。もしかするとそれは“耳切れ”の可能性があります。大人に限らず、お肌が敏感な赤ちゃんにも多い疾患ですが、正しい治療と予防で改善することが出来ます。
原因と主な症状
主な原因は乾燥・洋服などの刺激、細菌繁殖によるもので、耳たぶの下がひび割れて細い線が入り赤くなります。そして徐々に赤みが増して範囲が広がり線も厚くなっていき、悪化した場合は痒みが発生し、更に掻くことで出血したり化膿した状態になります。
「アトピー」と「耳切れ」の関係は?
どちらも同じような症状なので見分けが難しいですが、耳切れの他に「肘」「膝」の裏側にも同様の皮膚炎が見られた場合はアトピーの可能性があります。アトピーによる耳切れの場合、考えられる要因は「耳の脂漏性湿疹」「よだれ・汗・涙によるかぶれ」「石鹸によるかぶれ」「乾燥」が上げられます。
治療・予防
ステロイド等による外用薬での治療が主ですが、その他以下の予防策を取ることで改善されることもあります。
・赤ちゃんの場合、毎食後汚れをしっかり拭き取る
・保湿を保つ
・清潔を保つ
悪化すると完治まで時間がかかってしまうこともあるので、気になる症状が現れた際には早めにご来院ください。
脱毛症について
以前こちらのHPでAGA(男性型脱毛症)と円形脱毛症についてご紹介させていただきましたが、脱毛症にはその他にも様々な種類や要因があります。今回はそれらについてまとめてご紹介いたします。
脱毛症の種類
男性型脱毛症(AGA)
一般的に遺伝と男性ホルモンの影響から起こり、男性の10人に1人の割合で発症すると言われています。
・壮年性脱毛症
AGAの一種で、ヘアサイクルの成長が短くなり硬毛が軟毛化する脱毛症です。
日本人よりも欧米人に多く、頭頂部より生え際から徐々に後退しはじめるのが特徴です。
男性型脱毛症も壮年性脱毛症も、当院で自費診療による飲み薬での治療をしております。詳しくはこちら→AGAは皮膚科で治療できます
・円形脱毛症
髪が円形や不整形に抜けてしまう症状です。性別、年齢問わず発症する可能性のある疾患で以前はストレスが原因と言われていましたが、最近では「自己免疫機能」との関係が深いという説が有力になっています。詳しくはこちら→円形脱毛症について
・抜毛症
正常な髪の毛を自分で抜いてしまう症状で、癖やストレスが引き金になることが多いと言われています。
・脂漏性脱毛症
皮脂腺から過剰に皮脂が出ることにより、頭皮の毛穴が塞がり炎症をこしたり、毛穴から細菌が侵入して細胞にダメージを与えることで抜け毛を起こす症状です。
これらの脱毛症は遺伝によるもの、ストレス等による自律神経の乱れ、食事、生活習慣の乱れ、等原因は様々です。症状によっては当院にて保険診療が可能ですので、脱毛症でお悩みの方は一人で抱え込まず、一度ご来院ください。
2018/03/16
面皰圧出治療について
面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)とは、ニキビの中身を押し出す皮膚科で行われる治療です。一般的に「ニキビをつぶしてはいけない」と思われがちですが、自分でニキビをつぶすのと何が違うのかご説明いたします。
◇面皰(めんぽう)とは?
面皰とは、簡単にご説明すると「ニキビ」のことです。
思春期になると男女問わず、男性ホルモンの分泌が活発になり、皮脂の分泌が盛んになります。その結果、毛穴周辺の皮膚が厚くなり、毛穴が狭くなります。それにより、毛穴が詰まってしまい、皮脂が溜まっていきます。これがニキビの原因となり、皮脂が詰まってしまった状態を面皰と言います。
◇面皰圧出とは?
ニキビの中に詰まっている皮脂や膿、古い角質などを押し出す治療法です。皮膚科では、一般的に広く行われています。基本的にはどのようなニキビにも適した治療法ですが、炎症が起こる前に行うと炎症を防ぐことができます。
◇面皰圧出の手順
1、患部の消毒
2、ニキビの先端に小さな穴をあける
3、専用の器具を使用し、中身を押し出す
毛穴の中に詰まった皮脂などを物理的に押し出すことから、治療の効果がすぐに現れ、治癒も早まるとされています。
◇面皰圧出のメリット
・ニキビの治りが早くなる
(圧出により皮脂や汚れを出すことで、炎症が治まり治癒が早くなります)
・ニキビ跡が残りにくい
(皮膚科で面皰圧出法を行う場合は専用の器具を使用し、繊細な穴をニキビの表面にあけ中身を押し出すため、皮膚にダメージを与えにくく、ニキビ跡が残りにくいと言われています)
皮膚科での治療はしっかりと衛生管理されており、面皰圧出法は無理やりニキビをつぶす治療ではありません。一般的に「ニキビをつぶすと跡になる」と言われているのは、素人が自分でニキビをつぶしてしまい、そこへ雑菌が入ったり、必要以上に皮膚を傷つけてしまい悪化させてしまう事があるからです。
「ニキビだけでは皮膚科を受診するほどではない」と思われている方も多いかもしれません。しかし、ニキビは悪化してしまう前に適切な治療を行うことで、跡を残さず治すことができます。面皰圧出は保険が適用できる治療で、当院でも行うことができます。また圧出法だけでなく、それ以外にもニキビの治療法はありますので、悩まれている方がいらっしゃいましたら、一度ご相談ください。